ネシャン・サーガ 1 ヨナタンと伝説の杖
Ein phantastischer RomanDie Taäume des Jonathan Jabbok
ラルフ・イーザウ 著 酒寄 進一 訳ドイツの著名なメルヘン(ファンタジー)作家、ミヒャエル・エンデが見出した作家、ラルフ・イーザウの長編ファンタジー小説。ややRPG的趣のある話です。巻末に『著者による用語解説』なんてものがあったりしてなにかこだわりが感じられます。
…が、正直、この話は用語解説読まなきゃいけないほど込み入ってませんです。どちらかというとこういうのは指輪物語にあった方がいいような気もしなくもないですけど。
その昔、神の息子が父である神の作った世界に見習って自分の世界を作った。しかし神の息子はすぐ自分自身が神としてあがめられるのを望むようになり、自らを『メレヒ=アレス』と名乗り、自分の作った世界の支配者となった。しかしそのうち力不足が露呈してきて創造した生き物たちは悪に染まった残忍なものばかりになり、生き物たちは互いに殺し合いをしたりした。神はこれを見て嘆き、その地を『ネシャン(涙の地)』と呼ぶようになった。神はこの地に七つの呪いをかけた。そして裁きの司に神の力を現す伝説の杖、『ハシェベト』を与え、メレス=アレヒを信仰する邪なものたちを追い払った。
それからかなりの年月がながれ、ある日、少年ヨナタンは森を歩いている時に洞穴に落ち、そこで不思議な杖と出会った…。
…という自分によく似た少年ヨナタンの夢を1920年代のスコットランドで足の不自由なジョナサン・ジェイボックは毎晩のように見ていた。そして夢の中のヨナタンが冒険に出てから次第に現実が夢で夢が現実なのどうかわからなくなってきた。
…あらすじだけではわかりませんね。この話の…ある意味奥の深さが。二人の主人公のジョナサンとヨナタンは…信仰深い人物です。ジョナサンは聖書の神を、ヨナタンはネシャンの世界の神『イェーヴォー』を深く信仰しています。そして実際この二の名前は読み方が違うだけで『同じ』です。ヘブライ語で『神に与えられた』という意味をもつ聖書に出てくる人物の名前です。
二つの世界で信仰に関する逸話が沢山登場します。そしてヨナタンの住んでいる世界『ネシャン』の神はジョナサンの世界の神と同じだというセリフも登場します。そのせいか、ちょっと宗教がかった感じがします。内容的に読んでいい国と悪い国を選びそうな感じです。
それを除けばかなり正統派の冒険ですね。あと夢と現実…実世界と異世界かもしれませんがこれはなんとなくミヒャエル・エンデの『はてしない物語』を思い起こさせます。ただあれほど空想的ではないのですけど。ヨナタンの冒険はかなり過酷ですし、ファンタジーとはいえ、『魔法』は登場しません。不思議な力を持つハシェベトの杖がありますけどいざってときしか使いませんからメルヘンチックでなく指輪物語的なシビアさを持ってますね。ただあれほど込み入ってません。巻末の用語解説集は別に見なくても話がわからなくなるということもないですが読むと面白いかも?
ちなみに日本語タイトルが『ネシャン・サーガ ヨナタンと伝説の杖』になってますけど原題は『Die Taäume des Jonathan Jabbok』ドイツ語で読みにくいのだけど見たところジョナサンがタイトルのメインになってますね。内容的にヨナタンもジョナサンも五分五分に出てますけどね。
Author&WebMaster :
Azusa
| 2003年5月 2日
|
| ネシャン・サーガ


