言の葉の樹
The Telling
アーシュラ.K.ル=グウィン 著 小尾 美佐 訳
ゲド戦記で有名なアーシュラ.K.ル=グウィンのSFです。この方はファンタジーも書くけどSFも書きます。
(と、いうか、SFの方が有名なのだけど....ル=グウィンは。)私にとってはル=グウィンのSFは初めて読むことになります。
サティーは地球生まれの観察員で今現在惑星アカに派遣されて観察員として滞在中。しかしこの惑星アカ、昔の伝統や歴史、書物を焼き払い、『上に向かってひたすら前進』の場所。異星人は丁重に扱われるがなにかしら隔離されたかのように決まりきった場所にとどまるようにされていて、見せられるのはいかにこの惑星が発展してきたかという軌跡ばかり。
そこへサティーの上司のトングがこの星の独裁企業体国家(政府とは言わない)からなんとか許可を得てこの星の歴史の残る場所に行くようにとサティーに要請する。
禁じられた言葉、消された歴史、伝統…それを主人公のサティーが捜し求めるお話です。
直感的に感じたのは『さりげなく今の世界のどこかの国を隠喩している』ということ。たとえば中国。文化大革命当時なんか色々な文化や伝統が抹消されましたね。それからよく一部の政党、派閥、人物、一族が支配してしまっている国家とかは昔の遺跡を破壊したりしますね。
それと言葉、タイトルのように言葉がものすごく重要なものになってます。『挨拶』というものやへりくだった言葉の使い方やものの言い回しは一切禁止されている世界。サティーが行った先で挨拶やものの言い回し方(もちろん日本語とも英語とも違うこの世界オリジナル…いえ、『惑星アカ』での言い回し方)などが登場したときに先入観無しにこの世界のことを知ろうとしているサティーを通じて色々な価値観や現実の世界での色々な宗教観念などが投影されているかな?とか思ったりします。
そんなに派手な山場とかがある話ではないのだけど設定がしっかりしている分、怖いくい話にのめりこみます。『今、何処で、誰が、何を、どうしている』かとか『どうしようとしている』かとか…話の先が予測できそうなのに見えないので。
そしてロマンティックだけど寂しい、強いメッセージのこもる最終面が印象的です。自分とは異なる異世界の異文化で違う価値観を持った一人の人の人生。私たちの常識や考え方だと間違っているように見えるけどでもそれはそれで『正しかった』と思わせます。
しかし…このページを作る前にAmazonでのレビューを見てかなり動揺してます。皆様濃い書評です。いえ…痛いです。他のル=グウィンの作品と比較してそれに対してこれは物足りないという感じだったので。私が他のル=グウィンのSFの作品を見てないので他と比較することが出来ないので物足りないもなにもないのですけど。
ただ、この方の作品をゲド戦記くらいしか知らないで読むと奥深い話なのだけど。
Author&WebMaster :
Azusa
| 2003年6月 6日
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| アーシュラ.K.ル=グウィン


