The Room of Reverie
Book Report



ネシャン・サーガ 3 裁き司 最後の戦い

ネシャン・サーガ〈3〉裁き司最後の戦い

出版社:あすなろ書房
著者:ラルフ・イーザウ
価格:¥ 2,520

Ein phantastischer RomanDas Lied der Befreiung Neschans
ラルフ・イーザウ 著 酒寄 進一 訳

ネシャン・サーガシリーズ三巻。完結です。巻末の訳者のあとがきに書かれている通り、聖書的な話なのは聖書の士師記が話のベースだから。でも多分、士師記だけじゃなくて、最後の士師の話のサムエル記も少し絡んでいる気がしてならないけれど。裁き司が王を建てるというあたりで。
(士師記…旧約聖書の話。士師記の『士師』とは『裁き司』の意味。)
ただ、この巻は聖書的を通り越して堂々と引用してます、聖書の言葉を。この三巻では現実の世界で信じられ、敬われる神がこのネシャンの世界でも同じ存在というのを完全にはっきりさせてます。いえ、二巻ラスト寸前までが世界が二つに分かれて現実の世界の方でしか聖書の引用や話が出なかったからよくわからないのに宗教がかっているような不快感はかえってなくなってますね。


呪われた地…涙の地といわれるネシャンを癒し、救うと言われる別の世界からやってきたという、第七代裁き司のゲシャン=ヨナタン(ジョナサン)は来るべく日に備え、英知の庭で第六代裁き司のゴエルから裁き司の職権の印…超自然的な力を宿すハシェベトの杖の力を使う技術や色々なことを学んでいた。
そして…時は過ぎ、とうとう涙の地、ネシャンを邪悪な創造主とその僕から解放するために旅立つ時が来た。


はい、ネシャン・サーガ、二巻まで出てきたオールキャスト総出演。二巻までは三巻のための伏線、三巻のためのお膳立てに過ぎなかった、この話のための土台、という感じすらする話ですね。
サービスがいいです。話のノリもいいです。
夢中で読んだ…というのは否定しません。面白かったですから。
ラストの方は戦い…と言えるのかどうかわからないけど、感動を呼ぶシーンです。ヨナタン=ジョナサンだったというのも納得できるし、そうでないと面白くなかったもしれない。戦うのでなく、ただ一輪のバラを投げてよこす…あのシーンはなかなか見ものでした。決して屈しないその意思の印…。
ただ…結局ジョナサンはヨナタンとしてずっと生きていくのは少し寂しい気もしなくもなかったけど。捨てたもう一つの世界の自分は…やはり最後で懐かしがるだけで元には戻らないのか…と、少し思ってしまったり。二つの人生を同時に生きることは出来ない…か。
(二巻の最後あたり、参照)

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Author&WebMaster : Azusa | 2003年8月11日 | | ネシャン・サーガ


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