スプートニクの恋人
出版社:講談社
著者: 村上春樹
村上春樹
村上春樹にとって何冊目の本になるのか分からないけど、私にとっては初めて読む村上春樹の作品。
"恋人"と題されているだけに恋愛小説だと思ったけど、確かに恋愛小説だったけど、かなりクセがある。
まず、一人称で語り手が男性。その語り手の男性がひそかに愛している女性(すみれ)が恋をした話を語っているのだけど、そのすみれが恋した相手が年上の"女性"(ミュウ)という、何とも言えない状況の話で、初っぱなから予想を大きく裏切られた。
しかもそのすみれがかなり偏屈な性格で、皮肉っぽく世間一般の凡庸なものをハナから相手にしないゆえに世間知らずで、憧れていた小説家になるべく貧乏で隠遁(いんとん)な生活をしているという、まるでオタクかマニアのようだ。(オタクではないが)そんなすみれはミュウに恋をして偏屈な性格や行動が随分と人並みの姿になっていったように見えたが、女性に恋しただけに節々にどこか倒錯した所があって、彼女を愛している語り手の男性が時々気の毒に見えた。とにかく彼女が話をひっかき回しているというか、話の中で嵐のようにドタバタしていた。
そんなすみれがある時ぷっつり消息を断ってしまったのだけど、消息不明になった経緯がまるで別世界があってそこへすみれは行ってしまったような、そんな不可思議な事が描かれていた。途中までわりとリアルな世界(現実世界)での話のような描かれ方をしていたのに、あるかないか分からない物が登場したりしなかったりする混錯した終盤が、この話がファンタジーのようなものなのかなぁと思ったり思わなかったりした。それともこの現実の世界で説明のつかない不可思議な事象を描いていたのかなと思ったが、どうなのだろう?
ラストは友人曰く、『村上春樹にしては珍しいラスト』らしいけど、私は村上先生の本はこれが初めてなので他のはどうなっているのか残念ながら知らない。
なんか、投げっぱなしにされたような、そうでもないような。とにかく何かはっきりしない物が頭の中にもやもや残っているようなどう説明すればいいのかよくわからない余韻が残った話だった。
Author&WebMaster :
Azusa
| 2008年1月29日
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