The Room of Reverie
Book Report



蛍・納屋を焼く・その他の短編




螢・納屋を焼く・その他の短編



出版社:新潮社

著者: 村上春樹


村上春樹の短編集。
抽象的にして叙情的な作品が七作品収録されています。本の裏表紙にも「リリック(抒情詩)な七つの短編」と書かれてありますね。私自身はSFやファンタジーなどのリリックよりむしろエリック(叙事詩・史詩)的な作品ばかり読んでいたので彼のこの短編集を読み終わった直後の感想は「オチてない!」「投げっぱなし!」「雰囲気だけで終わり?!」などという、限りなく暴言に近いものであったわけですが。(でも、一番正直な感想ではあります)
ただ、思わせぶりで且つ、雰囲気は凄く良くて、俗物的な私でさえ夢見がちになる幻想世界が広がっていて、ついつい何かがあるのではないかと期待してしまい、そして、結末が曖昧に書かれていたりして派手に裏切られる、というのを繰り返していました。
他の方のレビューで村上春樹が理解出来ない、ということを書かれている方を多く見受けますが、この作家の作品は
「理解するんじゃない。感じろ」
という、どこかの作品で出てくるような台詞が恐ろしく似合っているような気がします。


ノルウェイの森の原型にあたる作品らしい。けど、残念ながら私はノルウェーの森を読んでいない。この短編集の中でギリギリ最後まで期待させて結局なんともならなかったという印象の作品でした。何ともならなかった事は別に悪くはないですが、二人の関係がどうにかならなかったのかという想いと余韻は残りました。

納屋を焼く
思いっきり含みを持たせて終わった作品。
この話に出てきた女性は絶対「焼かれている」と思ったのは私だけではない気が......

踊る小人
生きた象を作る工場、その中で鼻や耳や足を作ったりしている工夫達。そんな世界にその昔、踊りが上手い小人がいて......
なんてファンシーでメルヒェンな世界に男と女の関係やら小人がもたらした災厄やら、メルヒェンでシュールな黒い話になっているというか、「納屋を焼く」の後に来たものだから、村上春樹って実は真っ黒な人......?何て思ってしまったり。

めくらやなぎと眠る女
ちゃんとした結末はなく、甥の通院の付き添いをしている主人公が、ひたすら主人公が昔の思い出に浸って感慨深く語っているという話。まぁたしかに、青春に結末などなく(学校の卒業を青春の結末と言うべきかどうかは判らないが)終わりも見えないまま大人になっていくのが人生ですが。

三つのドイツ幻想
ドイツにまつわる幻想について、限りなく随筆に近い形で書かれいる。
この話が暗示しているのがセックスだったり、兵どもが夢の跡だったり、そういうのが見えるのだけど、書かれた意図があまり見えず、思わせぶりかつ、放り出されたまま感が残ってしまうのが何とも。
悪く言えば、「何が言いたいのか判らない」
多分、セックスや盛者必衰の事だとは思うけど......外れてるかな?

人気ブログランキングへ 芸術・文学/読書中毒 BlogPeole
Author&WebMaster : Azusa | 2008年3月11日 | トラックバック(0) | コメント(0) | | 村上春樹


タグ :


トラックバック(0)

この記事へのトラックバックURL
http://www.reverie-room.com/blog/mt-tb.cgi/21


コメント(0)

コメントを書く






  • 人気ブログランキングへ
  • 芸術・文学/読書中毒 BlogPeole
  • にほんブログ村 本ブログへ
  • にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
  • にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

Amazon.co.jp