The Room of Reverie
Book Report



ミヒャエル・エンデで読んだ本

魔法のカクテル

魔法のカクテル

出版社:岩波書店
著者:ミヒャエル・エンデ
価格:¥ 2,142

DER WUNSCHPUNSCH
ミヒャエル・エンデ 著 川西 葵沙 訳

ミヒャエル・エンデ作としては比較的新しい長編小説。ファンタジー…なのだけど一応、エンデはメルヘン作家ということなのでメルヘン。

魔法使いのベエルツェブープは悪い悪ーい魔法使い。悪魔と契約して災厄、疫病、河川の汚染とかの環境破壊などなどいろいろと悪いことをやっていた。
ところが年の暮れの大晦日の日、悪魔の執行官から今年の契約の事項(悪行の数々)を契約期間内にこなしていないので期日末まで(ようするに夜中の12時)に出来なければ差し押さえするということになってしまった。他の事に気を取られて契約分の仕事をこなせなかったベエルツェブープは気が気でなくなった。
そんな時におばの魔女のティラニアがどんな願いも叶える魔法のカクテルの作り方が書いてある巻紙の半分をよこしてくれと来た。おばのティラニアもまた、悪魔の契約がこなせなかった一人でこのカクテルを使って一気に契約をこなしてしまおうという魂胆だった。同じく悪魔との契約をこなせなかったベエルツェブープはおばのティラニアと意気投合してこの魔法のカクテルを作ることとなった…。


魔法使いと魔女の他に動物評議会からの回し者の猫とカラスがいるのだけどこの二人のやろうとしていることを止めるために奮闘します。ああ、だからといってただ環境破壊告発やら善悪を説いた話というわけじゃないですね。ただひたすら自分の利害のことを考えて相手の様子をうかがいながら魔法使いと魔女が、魔法のカクテル作りに奮闘する姿は面白いですし悪人らしいし、呪文と称してちょっとした言葉遊び…多分原典はドイツ語と思うけど上手く日本語のシャレになってます。それと同時進行でこの二人の悪行を阻止するために四苦八苦しているカラスと猫も話に味をつけてますし。
本の分厚さのわりに話はいたって単純明快でテンポよく、さくさくと読めてそれでいて愉快で楽しめます。

Author&WebMaster : Azusa | 2003年4月 4日 | ミヒャエル・エンデ


はてしない物語

はてしない物語

出版社:岩波書店
著者:ミヒャエル・エンデ
価格:¥ 3,003

DIE UNENDLICHE GESCHICHTE
ミヒャエル・エンデ 著 上田 真而子&佐藤 真理子 訳

ミヒャエル・エンデの代表作です。現実と虚構の世界が交錯する不思議な物語です。THE NEVERENDING STORY(ネバーエンディングストーリー)という名の映画で有名ですね。あの映画の一作目ははてしない物語の前半部分で終りですけど。(もっとも、後半は第二章でやっていましたね。)しかもかなり娯楽映画として作られていたので…物語のとても深遠で奥深い部分の描写にまではいたらなかったけど見る分にはとても楽しい映画ですので。そーいえばなんか映画の方は三作目まで出てますけど…さすがに第三作目ははてしない物語の続きのシナリオを映画用に書いたもののようですが。原作の小説ではバスチアンの冒険は一度きりですからね。


前半部分
バスチアン・バルタザール・ブックスはたまたま入った古本屋で古本屋の店主が読んでいた本が気になってそれをこともあろうか盗んでしまう。そして盗んだ本を学校の屋根裏部屋の倉庫でこっそり読み始めた。そしてその本の中はこんな内容だった。
おさなごころの君が治めるはてしなく広い世界、ファンタジーエンの国では正体不明の虚無に襲われていた。ファンタジーエンの国は虚無によってどんどん侵食され、なくなっていく。そして同じくおさなごころの君は病気にふしてしまう。おさなごころの君の病気と虚無は無関係ではなかったのだ。そこでおさなごころの君の名代としてのしるし…アウリンを授けられたファンタジーエンの狩猟の一族の少年、アトレーユがおさなごころの君の病気を治す術を探して旅をする…。

後半部分
おさなごころの君の病気を直し、虚無からファンタジーエンを救えるのはおさなごころの君に名前を授けることの出来る『人の子』だった。本を読んでいたバスチアンはおさなごろの君の呼びかけに応え、ファンタジーエンへと行く。そこでバスチアンはおさなごころの君の名代のしるしのアウリンを授けられ、『汝の欲することを成せ』という言葉どおり、自分の望みを次々と叶えていく。しかし、望みをかなえる度に記憶を失っていく。そんなバスチアンを心配したアトレーユはバスチアンに幾度となく忠告を与えたりするが、バスチアンの中ではアトレーユに尊敬してもらいたいとか、もっとよく見られたいなど色々な思いが交錯して望みはバスチアンやアトレーユの思いもしない方へといってしまう…


稀に見る色々と考えさせられる話です。児童書…の分類に入るのでしょうけど十分大人の観賞にも堪えられます。というか大人だと結構色々と思うところが出てくるんじゃないでしょうか?ファンタジーエンが虚無に襲われている部分では虚無的になっている現代の人々…夢や希望、信頼や友情というのが果ててしまっている人々の心そのもののようです。
そしてバスチアンが自分の望みを叶えていく部分では…彼はそのうちファンタジーエンの帝王となろうとしましたがアトレーユにジャマされ、アトレーユを憎むようになってしまいます。しかしその後の苦難の道のりが胸を打たれます。友達を傷つけた苦しみや本当は自分はどんな風だったかすら思い出せなくなり、愛や仲間…たとえ立派でない存在でなくてもいいから…そんな思い…でも本当の望みとは何か?結局バスチアンは何を求め、何を得ようとしていたのかというのをバスチアンと共に読んでいる側でも考えさせられます。

Author&WebMaster : Azusa | 2003年3月11日 | ミヒャエル・エンデ


« ミステリー | Book Report index | リンの谷のローワン »

  • 人気ブログランキングへ
  • 芸術・文学/読書中毒 BlogPeole
  • にほんブログ村 本ブログへ
  • にほんブログ村 本ブログ 読書日記へ
  • にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへ

Amazon.co.jp