The Room of Reverie
Book Report



ハーラン・エリスンで読んだ本

世界の中心で愛を叫んだけもの

世界の中心で愛を叫んだけもの

出版社:早川書房
著者:ハーラン・エリスン
価格:¥ 798

Beast That Shouted Love at the Heart of the World

出版社:Millington
著者:Harlan Ellison
価格:¥ 887

ハーラン・エリスンの初の日本で翻訳されたSF短編集。タイトルだけでもかなりインパクトのある作品です。
エヴァンゲリオンのファンならこのタイトルにピンと来る方もいらっしゃると思いますが、この本の表題はTV版の最終回のサブタイトルに使われていますね。
ちなみに片山恭一氏の世界の中心で、愛をさけぶという純愛小説もありますが、まったくの別物です。ハーラン・エリスンの方が先で、片山氏の方が後です。タイトルにインパクトがあるだけに拝借されたようですが、そのあたりの経緯で色々論議が交わされているようです。

さて、"世界の中心で愛を叫んだけもの"ですが、ハーラン・エリスンの(掌編一本分くらいありそうな)とっても長くて前書きから始まります。前書きというより随録として面白い。ただ、言いたい事を遠慮なく言っているあたり、この著者がどういう人なのかの一端を垣間見えるかもしれない。
作品は、ヒューゴー賞(世界の中心で愛を叫んだけもの)やネビュラ賞(少年と犬)などが収録されていますね。全体的に暴力や狂気が渦巻く作品が多いですが、嫌な感じはないです。多分、描かれている暴力や狂気を想像するにはあまりにも観念的なものも多いせいとは思いますが、話が訳分からないという事がないのが凄いところですね。狂気を華麗に見せてくれる。暴力も、血みどろの話があるのにもかかわらず、まったくえぐさを感じない。
それに、公道を走っていた夫婦が突如ファミリーカーでカーレースの"101号線の決闘"や、表向きは北極のサンタクロースだが、実は殺し屋な"サンタ・クロースvsスパイダー"だとか、コミカル(だけど狂気と暴力が渦巻いている)な作品などもあり、読む前に暴力と狂気と銘打たれていた作品だっただけに、こういう愉快さも味わえたのが意外といえば意外でしたね。とにかくどれも面白かった。
個人的に短編集のようなものだと1.2作はどうにも楽しめない作品があるのですが、こう、どの作品も竹を割ったようにさくさく読めたのは久々でした。

Author&WebMaster : Azusa | 2006年9月14日 | ハーラン・エリスン


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