The Room of Reverie
Book Report



海外小説で読んだ本

絵のない絵本

絵のない絵本

出版社:新潮社
著者:アンデルセン
価格:¥ 300

アンデルセン(著) 矢崎 源九郎 訳

アンデルセンの名作掌編集。
月が自分の見てきた情景やシーン、逸話などを主人公に語り伝えるお話。(主人公は月の方?)
タイトルのように絵は無いけれど、絵が無いだけに情景中心に色々と描かれていますね。
内容は様々で景色のみを語って終わるものから、(こちらは結末が無いみたいですね)ある女の一生涯や昔は栄えていた都の話、色々な国で起こった些細な出来事など色々。
アンデルセンが色々な国をめぐって歩いた経験が生きているのではないかなーと思う記述もいくつかありますね。彼が見た風景をどんな風に見ていたかも判る。
基本的に童話作家なだけに考えさせる逸話もいくつかありますね。
たとえば、今は昔、栄華を極めていたものが何十年何百年経って廃墟しか残っていなかった…
というようなお話とか?
なんというか、徒然草を思い起こさせたという感じ。

しかし、この話で一番気になるのが、月が途中で雲に隠れて話の途中で終わってしまった話がいくつかある事。
その後に残酷なシーンを思わせるような切れ方をしているのがすごく気になる。

どっちにしろ、情景描写といい、逸話といい、想像力を膨らましてくれる話でした。

Author&WebMaster : Azusa | 2006年5月 6日 | 海外小説


ジーキル博士とハイド氏

ジーキル博士とハイド氏

出版社:新潮社
著者:スティーヴンソン
価格:¥ 300

The Strange Case ofDr. Jekyll and Mr. Hyde
スティーヴンソン 著 田中 西二郎 訳

二重人格と来れば誰もがこの作品を連想するでしょう、スティーヴンソンの宝島に継ぐ名作中の名作。時々『ジキル博士とハイド氏』というタイトルでも呼ばれるけどまぁこちらの方のタイトルで出ている本の方が多いです。でも何故かこの歳(言えない歳だが)になるまで一度も読んだことがなかった作品。
…そういっても小説嫌いな人はどんな名作でも読まないものは読まないでしょうね。
ところでスティーヴンソンはこれをコカインを打ちながら一晩で書いたという伝説や数日で書き上げたという話があるんですけど…本当のところはどうなんでしょう??


色々な人々から信頼をもたれている弁護士のアタスン氏は友人から不気味な男の話を聞く。不気味な男はある夜に通りすがりに自分にぶつかって倒れた少女をそのまま平気な顔をして踏みつけていった。その姿は見る者に嫌悪感を与えずにはいられないなんとも言えない不気味な男、その男の名はハイド。
そしてアタスン氏は親友のジキール博士から不可思議な遺言書を委託される。それは『自分が死んだり、三ヶ月以上失踪した場合はすべての財産はエドワード・ハイド氏に譲る』らしい…
そして殺人事件は起こる…。


…温和な博士が薬を飲んだからとんでもない極悪人に人格が変わる…程度で知っていた話ですけど実際読むと随分と違います。古臭い古典的な話…と思って読んでいたら甘いですね。
この話はいわゆる二重人格というよりも『元々嫌悪すべき意思や欲望を持ち合わせていた』博士が良心と悪心との葛藤と二重生活にに疲れ、それを分離して良き自分と悪き自分に分けてしまおうとした話です。
…そう、別に元々博士が良い人というわけではなかったです。元々良くもあり、悪くもあったわけで、これは最後部分の『本件にするヘンリー・ジキルの詳細な陳述書』で見て取れます。彼は…まぁわかりやすい言葉で言えば『偽善者』だったんですね。
人間の二重性とも言えるかもしれませんがこれは誰もが良き顔をしている裏で悪心が渦巻いていたり、欲望があっても体裁のために押さえ込んだりしているもので…いえ、自分の姿をそのまま見ているような感覚にすら陥りそう。そう、作品が古く、古典的とか、稚拙とか、ありがちとか、荒唐無稽とか言えなくもないかもしれないけれど…ジキル博士の心理そのものは誰もに当てはまることではないでしょうか?

Author&WebMaster : Azusa | 2003年10月 1日 | 海外小説


青空のむこう

青空のむこう

出版社:求龍堂
著者:アレックス シアラー
価格:¥ 1,260

The Great Blue Yonder

出版社:Macmillan Children's Books
著者:Alex Shearer
価格:¥ 1,035

The Great Blue Yonder
アレックス・シアラー 著 金原 瑞人 訳

交通事故で突然死んでしまった少年がやり残したことが気がかりで『彼方の青い世界』に行けず、死者の国をさまよいそして生者の国へ行くお話。
人が死んだら『死者の国』で最初に名前を登録して、そして『彼方の青い世界』に行くらしい。だけどやり残したことがあったり、心残りなことがあると『彼方の青い世界』に行くことができない。
ハリーは姉のエギーと喧嘩して『ぼくが死んだら絶対後悔するんだから』といってそのまま交通事故で死んでしまった。最後に言い残した言葉がそんな言葉なのでそれが気になって『彼方の青い世界』に行けない。再び姉に会って謝りたかった。


生者の国に行ったハリーはきっと自分のことでみんな悲しんでいると半ば期待して学校に行ってみればみんなハリーなんかいなかったように過ごしていて、大親友だった子が一番大嫌いだった子と仲良くしていたりしてがっかりしたり、でも思っても見なかったところで自分に対する著文や詩が飾られていたり。死んだ者と生きている者たちとの隔たりを感じたり、自分が死んだ過去の者として扱われてたりするのがなかなか切なかったです。
あと、生者が自分のことが見えなくて街角で会った友達のお兄さんにも無視されると思っていたのに『やあ、ハリーじゃないか、最近どうしてる?』(すでにこの人も死んでいた!)で悲鳴をあげるハリーに『どうしたんだ?死んだんだろう?』と言われたり、こういうユーモアがあったりして良かったです。
そして姉のエギーに詫びの気持ちを伝えてエギーと仲直りできてもう振り返ることもなく死者の国へそして『彼方の青い世界』へ行くハリーの姿は清々しいけど悲しかったですね。

Author&WebMaster : Azusa | 2002年10月 1日 | 海外小説


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