富士見ミステリー文庫で読んだ本
キリサキ
出版社:富士見書房
著者:田代裕彦
挿絵 :若月さな
死んでしまった主人公『オレ』の一人称と客観的な三人称で綴られているサイキックサスペンス。
"サイキック"というのはこの本の帯の言い分で、主人公が死後の世界で死神(死者の案内人)と会って再び現世に戻るという冒頭部分からして、サイキックというよりファンタジーと言った方がしっくり来るような、そうでないような感じの作品。
主人公がまだ寿命が残っていて死んだからまだ生きられるチャンスはあると、案内人に言われて生き返った先が「まったく知らない女の子の体」だったという、こういうあたりはありがちではちゃめちゃコメディーを思わせる話かと思ったら、実は主人公は生前、死体の口を裂くという『キリサキ』という名で通った連続殺人鬼で、本人が死んだ後にも『何者か』によって同様の狩猟殺人が起こってしまっているという、意表を突いたあらましだったのが面白かった。
伏線があるようでないような、先をせっつきたくなるような話の進み具合で最後にどうなるかとハラハラしながら楽しみに読んでいたけど、クライマックスあたりでかなり強引で判りづらい上に無理のある真相に、それまでのノリと面白みが半減したのが惜しい。もうちょっと自然に出来なかったのだろうかと思った。
個人的には途中までかなり面白かったので、もうちょっと綺麗な種明かしだったらよかったのにと思うだけに実に惜しい作品だった。
Author&WebMaster : Azusa | 2007年12月 6日 | 富士見ミステリー文庫
ニライカナイをさがして
出版社:富士見書房
著者:葉山透
挿絵 : 山都エンヂ
知り合いに薦められて読んでみた。個人的には富士見書房で初めて読む本になる。
"ニライカナイ"とは、琉球語で神の住む楽園や理想郷の事を言うらしい。また、死者の国というのも意味するそうな。
冴えない男子高校生の主人公が何処かへ逃避したいと何気に通い詰めていた空港で出会った少女が人気絶頂モデル(後で色々とスキャンダルだとかが出てくるが)で、彼女が強引に主人公を連れ立って沖縄に行くハメになったというお話。
展開は突然の出会いに南の島を舞台にした逃避行モノを組み合わせた感じで、基本はかなりベタなラブコメだった。
南の島での二人の交流にちょっとダラダラとした印象を受けなくもないし、ヒロインの少女の暗い過去も彼女の強気さが強調され過ぎて拍子抜けした部分もあったけど、話の筋は概ねベタベタでライトノベルらしいラブコメで、南の島の様子も行ったこと無い私でも想像出来るくらい細かくて、情緒豊かでわりと楽しめた。
けど、ラスト付近で明かされる主人公自身の正体が、「実は画期的なインターフェイスを開発した天才少年で国家予算くらいの資産を持つ大金持ち」という、何処のWindowsの発売元ソフトウエア会社の会長だ?みたいな、あまりに突拍子もない設定で、これはちょっと不自然だろう、という感じはした。もう少しユルい設定でも良かったと思う。もしくはもうちょっとこう、話になじめたらよかったのだけど、ここが妙に浮いている。小説だと漫画やアニメより無理が誇張されてしまってて、かなり苦しかった。
あと、一番気になったのが主人公とヒロインの性格と台詞と一部のシーン。
知ってるアニメのキャラに似ているなと思ってよくよく考えたら、某アニメのキャラが登場した時に言っていた台詞をそのまま言っていたり、お風呂上がりにバスタオル一枚で出てきて実は……は、某アニメのコミックス版四巻のシーン……他、色々な箇所でちらほら類似点があった。
色々な作品で昔の名作や有名作がキャラクター造形や性格に影響を受けて作られる事はあまり珍しくはないけれど、ちょっとそのまま過ぎたという感じ。多分、それらを知らなかったら気にならない部分だったと思うけれど、あいにく知っていたおかげでちょっと引いた。
作者が知っていたかは判らないし、例え影響を受けていてもそれは別に構わないのだけれど、パロディーとして見るにしてはちょっとだけ苦しいという感じで被っている部分があった。話の筋が良かっただけに、この部分がかなりのマイナスだった。惜しいなぁ。
(ちなみに後で知ったが、知り合いは判ってて私に薦めたらしい。タチ悪いなぁ。)
最後に、今やラノベのキモとも言えるイラストですが、
個人的にもっと可愛くてぶりぶり~~~なのでも良かったと思った。
ラブコメだしね(笑)
Author&WebMaster : Azusa | 2007年11月10日 | 富士見ミステリー文庫




