The Room of Reverie
Book Report



海外のSFで読んだ本

未來のイヴ(未来のイヴ)


未來のイヴ


出版社:東京創元社
著者:ヴィリエ・ド・リラダン


ヴィリエ・ド・リラダン(著) 斎藤磯雄(訳)


「アンドロイド」という言葉を最初に使った作品らしい。
前に一度、斜め読みで読んだっきりだったけど、もう一度読み直した。
名訳と銘打ってるけど、「正漢字・歴史的仮名遣い」というのがかなりのくせ者で、内容が異様に濃い上に正漢字・歴史的仮名遣いで今時では見ないような漢字を使い、ひらがなも「ゐ」や「ゑ」を沢山使っていて、現代漢字や現代国語で慣れているとかなり読み違いを起こす。正直、日本語として死ぬほど読みづらい。
しかも400頁の長編でそういう日本語なものだから、根気が半端でなく要る。
やはり、知り合いでもチャレンジしたけど途中で挫折したという人が居た。そのくらい読むのが辛い。

内容的にはこれ以上無いほどくどくてしつこい。
リラダン自身が貴族の家柄やブルジョワジー、赤貧、結婚に関する事などで色々と苦労や苦悩を持っていたせいか、エディソンの物思いやエワルド卿の苦悩、アリシヤの低俗な卑しさが半ば狂気の勢いで延々と語られている。
具体的に言えば、「蓄音機がもっと昔からあればどんなに良かったろう」一人想いで50頁近く、エワルド卿の恋人が美人だけどいかにその美しさと裏腹な卑俗さなのかの告白が100頁以上だ。
その後は理想の人造人間ハダリーの構造説明が延々と続くが、そこでエディソンの女性論が入り交じり、これもまた長くなっている。
その割に物語の締めくくりはあまりにあっさりし過ぎて、突然止められてしまうような感じだった。


とっかかりに非常に苦労する小説ではあるけど、その構想や女性論、人造人間という人工的に作り出された「理想」のとらえ方や、空想の科学の描き方など、斬新さや大胆さ、独自性には驚いた。100年前に描かれたとは思えないような凄みがある。
影響されたSF作品が数多く存在するのもうなずけた。

人に薦めるにはちょっと難物ではあるけど、興味と根気を持っている人であれば、お薦めしても良いかもしれない。

Author&WebMaster : Azusa | 2007年10月29日 | 海外のSF


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